「児童館における新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急調査」 【結果】
児童館 6月上旬までに6割が再開
・3密を避けた「運営」と「遊びのプログラム」が課題
・求められる物品、「非接触型体温計」、「消毒液」、「ハンドソープ」
都道府県・指定都市の児童館連絡協議会で構成される全国児童館連絡協議会(以下、全児連)と全国の児童館を支援する一般財団法人児童健全育成推進財団(以下、育成財団)は、全国に約4,500ある児童館を対象に「児童館における新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急調査」を実施しました。その結果を公表いたします。
調査では、多くの児童館が工夫を凝らしながら感染症対策を行い、ほぼすべての館で館内換気、手洗い・うがい・マスク着用の励行が行われていることが分かりました。また、「臨時休館」を行った児童館は8割にのぼることが分かりました。そのようななか、6割の児童館は休館中、放課後児童クラブへの支援を行っており、オンラインでの遊び等の配信も実施しました。今後不足するものとしては7割近い児童館から「非接触型体温計」があがり、「3密を避けた運営方法」や「3密を避けた遊びのプログラム」が課題となっていることが分かりました。主な調査結果は以下の通りです。
「感染症対策として、貴児童館において「臨時休館」が行われたかお答え下さい」と聞いたところ、「臨時休館が行われた」という回答は8割(82%)となりました。また、臨時休館が行われた(n=1228)施設に対して、「開館(予定)日」について聞いたところ、「6月上旬」(27%)の回答が最も多く、その他回答と合わせると、臨時休館が行われている施設の6割が、6月上旬までに施設運営を再開することが分かりました。一方で、再開(予定)日が「未定」という回答は4割(43%)でした。
「感染症対策として貴児童館が取り組んだことについて、下記から選択してください。【複数選択可】 」と聞いたところ、「館内の換気」(93%)、「手洗い・うがいの励行」(93%)、「マスク着用の励行」(92%)についての回答が多く、「入館時の手指の消毒」(88%)、「館内各所や遊具等の消毒」(88%)もほぼ同様の数値であり、多くの施設で子どもたちの安全を守るために努力していることが分かりました。
「入館時の検温」(60%)も半数以上の児童館で実施されています。アンケート実施時には臨時休館していた施設も多く、開館後についてはさらに対応が行われることが見込まれます。その他、「一度に入館する人数の制限」(28%)「利用時間の制限や入れ替え」(27%)もあり、4館に1館が時間制限・入場制限を行いながら運営していたということが分かりました。
「コロナ対策期間中の健全育成活動として取り組まれたことを下記から選択してください。【複数選択可】」と聞いたところ、「職員の研修や開館に向けての準備」(58%)の回答が最も多く、「放課後児童クラブの支援」(56%)が続いてほぼ同数となり、6割の児童館で、職員研修や開館に向けた準備、放課後児童クラブの支援を行っていたことが分かりました。そのほか、「電話やSNS等での相談対応」(22%)も5館に1館の割合で実施されていたことが分かり、自由回答では「子育て中の保護者や18歳までの子どもを対象に、子育てや悩み事などについての電話相談を行った」「乳幼児クラブ保護者へ電話で現状通知とともに相談対応を行った」など、既存の関係性を生かしたサポートが見られました。「オンラインでの遊び等の支援」(13%)も行われ、自由回答では市ホームページやフェイスブックで簡単工作の動画配信を行った」「週1回程度会議アプリ「Zoom」を利用して乳幼児の保護者同士が複数で会話し、子育ての悩み等を職員と利用者同士が話し合う機会を設けた」など、公設・民設を問わず「今だからこそ」あらゆる手段を講じて健全育成を行う動きが見られました。
「現場で不足しているもの(今後、不足すると思われるもの)について、下記から選択してください【複数選択可】」と聞いたところ、1位:「非接触体温計」(67%)、2位「手指用消毒液」(63%)となり、6割の児童館が物品の不足を懸念していることが分かりました。また、3位「館内や遊具の消毒液」(48%)、4位「ハンドソープ」「来館者用マスク」(46%)となっており、2館に1館が不足を懸念しています。自由回答からは「利用者の動線を再考したところ、館内に入る前に手指の消毒をするのが必要と分かり、アルコール消毒液がより必要となった」「開館するにあたり、使用頻度が多くなると不足してくる可能性がある」など、運用ルールや長期化した場合を検討した結果、物品不足が顕在化した様子も見られました。
「現場で課題となっていることについて、下記から選択してください。【複数選択可】」と聞いたところ、1位:「3密を避けた運営方法」(86%)、2位:「3密を避けた遊びのプログラム」(78%)となっており、8割から9割の児童館が、「3つの密」に配慮した対応を課題にあげています。自由記述では「乳幼児の3密を避けた親子あそびが難しい」「普段100人以上の利用者がある中、どのようにして利用者に理解していただくと良いのかが課題になる」等、行事等における特性や施設規模等を鑑みたうえで、どうやってソーシャルディスタンスを保つか、模索している様子が見られました。3位には「再開時の利用ルール等についての指針」(67%)があがり、前述した2点を含めて、施設再開に向けた行動・活動指針の必要性が指摘されています。
なお、本調査を踏まえて「児童館のための新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を作成し、公表しました。
<全国児童館連絡協議会 概要>
全国の児童館連絡協議会が連携して児童館活動の発展を図り、児童の健全育成を推進することを目的としています。現場の声を集約した提言の発信や、災害時の相互扶助、社会全体に対する児童館の広報・啓発等、時宜に応じて様々な取組を実施していく児童館の全国連携組織です。